AIの利用ログを11か月開いていなかった — 従業員62名の食品工場が棚卸しで見つけた「シャドーAI7人」

シャドーAIAI利用ログ情報セキュリティ

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

「10ライセンスのうち、生きていたのは4つ」

契約と実態のギャップ

大分県内で惣菜を製造するA社(従業員62名、うちPCを日常的に使う事務・営業が18名)が、ChatGPTの法人プランを10ライセンス契約したのは昨年の春でした。月額は約4万5千円です。導入時に半日の勉強会をやり、あとは各自に任せていました。

きっかけは契約更新の1か月前、経理担当者の一言でした。「この10人分、本当に使ってますか」。総務課長(情シス兼任)が管理画面を開いたのは、契約から11か月目にして初めてのことでした。過去30日のアクティブ利用者は4名です。残る6ライセンスは、ほぼ触られていませんでした。

アンケートで人数が合わなかった

把握と実態のずれ

翌週、18名に記名式のアンケートを配りました。設問は3つだけです。「業務でAIを使っているか」「どのツールか」「会社のアカウントか個人のアカウントか」。

回収は18/18でした。「使っている」と答えたのは11名でした。会社ライセンスで実際に動いていたのは4名です。差の7名は、無料版のChatGPT、スマホのGemini、個人契約の別サービス——会社が把握していないアカウントを使っていました。その中には、そもそもライセンスを配られていなかった営業事務3名も含まれていました。

悪意はありません。申請が面倒で、目の前の作業が終わればよかっただけです。

管理画面より、経費精算と稟議書に痕跡があった

シャドーAIはAIの管理画面には映りません。A社が実際に痕跡を見つけたのは、社内にすでにある記録のほうでした。

調べた場所 出てきたもの 件数
AI管理画面 30日アクティブ利用者 4名/10ライセンス
経費精算(3か月分) 個人名義のAIサブスク立替 2名・月5,960円
ブラウザ拡張の申請台帳 未申請の要約・文字起こし拡張 3名
稟議書・提案書の本文 出典が確認できない統計・数値 4件
記名アンケート 会社が把握していないアカウント 7名

3か月分をさかのぼるのに、担当者2名で延べ4時間でした。特別なツールは使っていません。

怖かったのは「誰が」ではなく「何を貼ったか」

利用者の把握が済んだ6月、A社は質問を変えました。誰が使ったかではなく、何を投入したかです。11名に、過去1か月にAIへ貼り付けた内容の「見出しだけ」を書き出してもらいました。

出てきたのは、顧客名と電話番号が入ったクレームメール12件、取引先から受領した図面PDFの全文1件、健康診断の再検査対象者に送る文面の相談1件です。図面にはNDAがありました。

分類は本人の感覚に任せず、こう流しました。

以下は、私が過去1か月にAIへ貼り付けた内容の一覧です(本文は含めず、見出しのみ)。

- 4/8 取引先A社から受領した図面PDFの全文
- 4/11 顧客からのクレームメール(氏名・電話番号あり)
- 4/19 来期の販売計画の下書き(社外未公開)

各項目を、次の3列の表にしてください。
1) 含まれる可能性がある情報の種類(個人情報/取引先の秘密情報/自社の非公開情報/公開情報)
2) 社外に出た場合に最初に困る人と、その内容
3) 情報を伏せたまま同じ作業を行う代替手順(1〜2行)

判断できないものは「不明」と書き、推測で埋めないでください。

「不明」を書いてよい欄を作ったのが効きました。3件が不明で上がり、そこから2件の禁止事項が決まりました。

禁止ではなく置き換えたら、2か月で消えた

A社がやった4つ

A社は「個人アカウント禁止」の通達を出していません。代わりにやったのは4つだけです。

  • 休眠していた6ライセンスのうち3つを、実際に使っていた営業事務へ回しました
  • 残り3つは解約し、月額は45,000円→36,000円になりました
  • 個人立替の2名は会社アカウントへ移し、立替分(月5,960円)は精算して終了しました
  • 申請書を「使いたいツール名と用途を1行」だけのフォームに変え、承認は原則2営業日以内としました

7月末の再アンケートで、業務での個人アカウント利用は0件になりました。使える口が空いていれば、隠す理由がありません。

月末15分だけ、点検を残した

月末15分の点検項目

一度の棚卸しは、放っておけば1年でまた元に戻ります。A社が残したのは月末15分の点検だけです。見るのは4つ、アクティブ利用者数/新規に申請されたツール/投入内容で「不明」と自己申告された件数/個人課金の有無です。

以下は今月のAI利用状況の実測値です。
・会社ライセンスの30日アクティブ:8名/8ライセンス
・新規申請されたツール:2件(音声文字起こし1、画像生成1)
・投入内容で「不明」と自己申告された件数:3件
・個人課金:0件(先月0件)

これを経営会議で3分で読める報告に整えてください。
- 冒頭に「先月から悪化した点」を1行
- 次に「そのままでよい点」を3つまで
- 最後に「来月やること」を2つ、担当者名は空欄のまま
与えた数字だけを使い、書かれていない数値を補わないこと。

11か月開かなかった管理画面を、いまは月に1回開いています。それだけのことですが、次に「誰も見ていない」状態へ戻るまでの時間は確実に伸びました。

えらびの道では、この棚卸しを研修とコーチングの2軸で扱っています。半日の単発研修では投入してよい情報の線引きと自己点検の手順を、標準コースでは管理画面の見方・申請フローの設計・月次点検の様式づくりまでを社内の担当者と組み立てます。コーチングは「アンケートは取ったが、次に何を見ればいいか分からない」という段階から実際の記録を一緒に開き、月次点検が担当者だけで回るようになるまで伴走する形です。人材開発支援助成金や自治体の補助金を使う場合の要件確認と書類準備にも対応しています。

利用実態の棚卸しから月次点検まで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修をしています。研修だけを専門にしている会社ではなく、普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしていて、生成AIはそこで毎日使っている道具のひとつです。誰がどのアカウントで何を投入しているかという管理は、自分たちの運用でも日々向き合っている部分です。

研修では、貴社が実際に使っている書類をそのまま題材にします。この記事の例でいえば、利用実態を聞くアンケートの設問、投入した内容を分類するプロンプト、月末の点検で見る項目といったものを、貴社の職種構成と契約中のツールに合わせて作り直す作業を、その場で一緒に進めます。汎用的な事例ではなく、翌日から使える形で持ち帰っていただくためです。

禁止事項を増やすか、使える口を広げるかの切り分けも同じ場で扱います。えらびの道では、事前のヒアリングに伺うのも研修当日に立つのも代表の喜多で、社内の事情を一度お話しいただければ、そのまま当日の題材に反映できます。

まずはオンラインで30分ほど、いま契約しているライセンスの本数や、把握しきれていない場面を伺うところからで構いません。ご相談に費用はかかりません。

よくある質問

AIの利用状況を記名式アンケートで聞いて、正直に答えてもらえますか?

回答を責任追及に使わないことを先に伝えるのが前提です。記事のA社でも、個人アカウントの利用は悪意ではなく申請が面倒だっただけでした。答えにくい項目には「不明」と書ける欄を用意しておくと、本人の無理な自己判断が減り、後から確認すべき点が残ります。

すでに個人アカウントのAIに社外秘の情報を入力してしまった場合はどうすればいいですか?

まず、いつ何を入力したかを本文抜きの見出しだけで書き出し、含まれる情報の種類ごとに分けます。取引先から受け取った資料が含まれる場合は、秘密保持契約の条項を確認してください。判断がつかないものを自社だけで結論づけず、相手先の窓口や専門家に相談することをおすすめします。

AI研修に助成金や補助金は使えますか?

人材開発支援助成金や自治体の補助金を利用できる場合がありますが、対象になるかは制度や年度、企業の状況によって変わります。該当するかどうかは自己判断せず、労働局や自治体の窓口にご確認ください。えらびの道でも、要件の確認と書類準備のお手伝いをしています。

ご相談は、お電話が一番早いです

研修の内容・料金・補助金の使い方まで、その場でお答えします

097-507-3082

不在時は折り返しご連絡します

この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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