
退職した社員のChatGPTアカウントが3か月生きていました — 従業員47名の設備工事会社が9月末の退職・10月異動の前に回収したAIアカウントと業務データ
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
契約は7件、社内で使っている人は6人でした
大分県内で空調・給排水の設備工事を手がける、従業員47名の会社を想定します。内訳は現場の技術者が29名、工務・積算が8名、営業が5名、総務経理が5名です。
法人カードの明細を確認していた経理担当が、8月の締めで手を止めました。ChatGPTの有料アカウントの請求が7件あるのに、社内で使っている人を数えると6人しかいません。
残る1件は、5月末に退職した工務課の積算担当のものでした。退職から3か月近く、そのアカウントは生きたまま課金され続けていました。1席あたり月額3,200円で計上していましたので、余分な支払いは9,600円です。
社長が気にしたのは、その金額ではありませんでした。「その中に、何が残っていますか」。総務課長(情シス兼任)は答えられませんでした。会社側に管理画面がなかったからです。
退職時のチェックリストに、AIの行がありませんでした
この会社のAI利用は、工務課が個人向けの有料プランを自分で契約し、支払いだけを法人カードに寄せる形で始まっていました。法人向けプランではないため、管理者が席の一覧を見ることも、退職者のアカウントを止めることもできません。解約するには、本人にログインしてもらう以外に方法がありませんでした。
総務が使っている退職手続きのチェックリストには、社用スマホ、入館証、メールアカウント、勤怠システム、共有フォルダの権限まで並んでいました。AIツールの行だけが、どこにもありませんでした。導入が現場から始まったため、帳票が追いついていなかったのです。
9月末に2名が退職し、10月1日付で4名の異動が決まっていました。この6名のうち5名が、AIを業務で使っています。総務課長は8月22日、支払い経路をたどるところから棚卸しを始めました。
以下は当社が過去6か月に支払ったクレジットカード明細と経費精算の一覧です。
AI・文字起こし・翻訳などのソフトウェア利用料に該当する行だけを抜き出し、
次の形式の表にしてください。判断できない行は「要確認」として残してください。
| 支払先 | 経路(法人カード/立替/その他) | 月額 | 件数 | 初回請求月 |
【明細】
(ここに貼り付け)
出てきた契約は3つの経路に散っていました。法人カードのChatGPTが7件、個人名義で立替精算していた別サービスが3件、無料のブラウザ拡張が2件です。会社が把握していたのは、このうち7件だけでした。把握外のアカウントがどこに溜まるかは、AIの利用ログを11か月開いていなかったで扱った棚卸しと同じ場所です。
止める日は1つではなく、3つに分かれていました
9月末退職の2名について日付を並べたところ、3つがずれていました。最終出社日は9月26日、退職日は9月30日、カードの更新日は10月8日です。
当初は「退職日にまとめて止める」つもりでした。しかしこの組み方では、最終出社日から退職日までの4日間、本人はログインできます。その間に会話履歴を書き出されても、会社側には何も残りません。そこで、日付ごとに担当者を割り当て直しました。
| 対象 | 止める日 | 手を動かす人 | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| 有料アカウントのログイン | 最終出社日の当日 | 総務課長 | 停止画面のスクリーンショット |
| 業務で使っていた会話とファイル | 最終出社日の前日 | 各課の課長 | 書き出したテキスト一式 |
| 会社メール・共有フォルダ | 最終出社日の翌営業日 | 総務課長 | 権限を移した先の一覧表 |
| 法人カードからの課金 | 退職日 | 経理担当 | 解約完了メールの写し |
| 個人契約の立替精算 | 最終給与の締め日 | 経理担当 | 精算を止めた旨の連絡記録 |
会話履歴は引き継ぎ資料に出てこないので、先に外へ出しました
5月に退職した積算担当の引き継ぎ書は、紙のファイルの場所と担当先の一覧で終わっていました。本人に悪気はありません。AIとのやりとりは頭の中ではなくアカウントの中にあるため、引き継ぎ資料を書く発想の外にあったのです。
8月28日から、退職・異動の6名に、業務で繰り返し使ったやりとりを洗い出してもらいました。基準は「同じことを来月も誰かがやるかどうか」の1点だけです。
以下は、退職予定の社員が業務で使っていたAIとのやりとりです。
別の担当者が来月そのまま使えるように、次の3点に分けて書き出してください。
1. そのまま貼れるプロンプト本文(会社名・単価・個人名は【 】に伏せる)
2. 入力に必要な資料の名前と、その置き場所
3. 出力を使うときの注意点(人が必ず確認する箇所)
【やりとり】
(ここに貼り付け)
集まったのは11本でした。見積内訳の抜けを洗う手順、元請け向けの週次報告メールの下書き、安全書類の記入漏れチェックなどです。共有フォルダに「AI引き継ぎ」を作り、プロンプト本文・入力例・出力例の3点をセットで置きました。単価や個人名を伏せずに貼ると、今度は社内で見せすぎる問題に変わりますので、伏せ字にしてから移しています。作った本人がいなくなった後に何が起きるかは、ChatGPTに作らせたExcelマクロを、作った本人が異動したで扱った構図と同じです。
10月の異動は、消すのではなく付け替えで処理しました
異動する4名は会社に残りますので、アカウントを消す必要はありません。変えるのは、見える範囲のほうです。
問題になったのは、工務課から営業課へ移る1名でした。この社員の履歴には、協力会社12社の労務単価を貼り付けたやりとりが残っています。そのまま営業へ出ると、値引き交渉の場で参照できてしまう状態になります。
そこでこの会社は、アカウントを人ではなく業務に紐づけ直しました。「積算用」「安全書類用」「報告メール用」の3つの入れ物を作り、そこに参加する人を異動のたびに入れ替える形です。人が動いても入れ物は残りますので、次の異動では参加者の名前を差し替えるだけで済みます。総務の異動手続きにも、この差し替えの行を1行足しました。
えらびの道では、生成AIの業務活用を、半日の単発研修と標準コースの「研修」、実業務に伴走して定着させる「コーチング」の2軸で提供しています。今回のようなアカウントとデータの回収は、ルールを配るだけでは現場で止まりますので、退職・異動の手続き書類にどの行を足すか、引き継ぎ用のプロンプトをどこに置くかまで、貴社の帳票を題材に一緒に決めていきます。費用面では人材開発支援助成金や自治体の補助金の活用にも対応しており、制度の選び方はAI研修に使える助成金・補助金まとめに整理しています。まずは契約している席数と、その席を今どなたが使っているかを突き合わせるところからで構いません。
退職・異動でAIアカウントを止めるところまで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修を行っています。ただ、研修だけを専門にしている会社ではありません。普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしていて、生成AIも社内アカウントの管理も、そこで毎日扱っているものです。だからこそ、契約が支払い経路ごとに散らばる事情も、管理画面のない個人契約が残ってしまう理由も、実感として分かります。
研修では、貴社が実際に使っている書類をそのまま題材にします。この記事でいえば、総務の退職手続きチェックリストにAIツールの行をどう足すか、法人カードの明細から利用中の契約をどう洗い出すか、会話履歴のうち何を引き継ぎ資料として残すか、といったところです。汎用的な事例ではなく、貴社の帳票の上で手を動かして持ち帰っていただきます。
進め方はいたって単純で、研修当日に立つのも、事前のヒアリングに伺うのも代表の喜多です。事前に貴社の運用を聞いたうえで題材を組み立てますので、当日に一から説明していただく必要はありません。大分市の人材育成応援事業などの補助金を使う場合は、申請書類の作成もあわせてお手伝いします。
棚卸しをどこから始めるか迷っている段階でも構いません。えらびの道ではオンラインで30分のご相談をお受けしていて、費用はかかりません。まずは貴社の状況をお聞かせください。
よくある質問
退職した社員のAIアカウントは、会社側で止められますか?
契約の形によって変わります。法人向けプランで管理者が置かれていれば、管理画面から利用停止とデータの移管ができます。個人向けプランを法人カードや立替精算で払っている場合は管理画面がなく、本人にログインしてもらう以外に方法がありません。在職中に契約形態を確かめておくことをおすすめします。
退職の手続きに、AI関連で何を足せばよいですか?
最低限、有料アカウントの利用停止、会話履歴とアップロードしたファイルの書き出し、共有していたプロンプトの引き継ぎ先、課金の解約手続きの4行です。それぞれに実行する日と担当者を書いておくと、最終出社日から退職日までの空白がなくなります。
異動のときも、AIのアカウントは止めるべきですか?
止める必要はありませんが、見える範囲は付け替えます。異動前の部署で扱っていた原価や単価、個人情報を含むやりとりに、異動後もアクセスできる状態が残りやすいためです。業務ごとに入れ物を分けておくと、参加者の差し替えだけで対応できます。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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