
AIで事務の定型作業を減らしたら、障害者雇用で任せる仕事がなくなりました — 法定雇用率2.7%で新たに対象になった従業員38名の会社が、来年6月1日の報告までに組み直す業務の切り出しと合理的配慮の4つの判断
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
想定するのは、従業員38名の会社です。昨年から請求書の読み取りや日報の整形を生成AIとAI-OCRに移したことで、事務の入力作業は月に60時間ほど減りました。ところが2026年7月に法定雇用率が上がり、障害者を1人雇う前提で求人を考え始めたところで、「任せるつもりだった入力の仕事が、もう残っていません」という声が総務から上がりました。以下では、現場で出る質問の順に答えます。
従業員38名でも、来年の報告で障害者雇用の数字を問われるのですか
問われる可能性が高いです。厚生労働省の障害者雇用対策のページに示されているとおり、民間企業の法定雇用率は2026年7月から2.7%になりました。対象となる事業主も、常用労働者37.5人以上に広がっています。38名であれば、38×2.7%=1.026人の端数を切り捨てて、1人の雇用が求められます。
ただし、「38名」がそのまま常用労働者数になるとは限りません。週20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人と数えます。そのため、38名のうち2名が週25時間のパートであれば37人となり、対象から外れます。まずは雇用契約書にある所定労働時間で数え直してください。対象になる場合は、毎年6月1日時点の雇用状況を7月15日までにハローワークへ報告します。
AIで減らした定型作業を、人の手に戻すべきですか
一つ目の判断は、「戻さない」ことです。雇用のためにAIを止めて入力作業を復活させると、本人は「わざわざ残された仕事」を担うことになります。さらに、次にツールを入れ替えたときに、また仕事がなくなります。見るべきなのは、AIを入れたあとに人の手に残った部分です。
| 作業 | AI導入後に人の手に残る部分 | 任せられる場合 |
|---|---|---|
| 請求書・納品書の入力 | 読み取れなかった項目を原本で確かめる部分 | 確かめる項目が一覧になっている場合 |
| 書類のスキャンと保存 | ホチキスを外して向きをそろえる部分 | ファイル名の付け方が決まっている場合 |
| 備品・消耗品の発注 | 棚の実数を数えて記録する部分 | 数える場所と順番が決まっている場合 |
| 郵便物・宅配の仕分け | すべての工程が人の手に残る部分 | 部署ごとの宛先表がある場合 |
右の列を書けない作業は、まだ切り出せる段階にありません。手順が担当者の頭の中にしかない作業は、属人業務をAIで標準化する手順を参考に、先に文章にしておいてください。
切り出す業務は、どこから探せばよいですか
二つ目の判断は、部署単位ではなく「作業単位」で棚卸しすることです。「経理補助」と書いても仕事は見つかりません。「読み取りエラーの項目を原本で確かめる」と書けば、1日に何件あり、何分かかるかが見えてきます。AIで減った時間を上期末に数え直した記録があれば、そのまま棚卸しの材料に使えます。
棚卸しの下書きは生成AIに作らせてかまいません。ただし、社員の氏名や、応募者の障害に関する情報は入力しないでください。障害に関する情報は要配慮個人情報にあたるためです。
あなたは中小企業の業務棚卸しを手伝う担当者です。
以下の業務メモを、1回5〜30分で終わる「作業」の単位に分解してください。
出力は次の列の表にしてください。
- 作業名(動詞で終える。例:読み取りエラーの項目を原本で確かめる)
- 発生頻度(1日・1週・1か月あたりの件数)
- 1件あたりの所要時間
- 判断が必要な箇所(なければ「なし」)
- 手順が文書になっているか(はい/いいえ)
氏名や個人を特定できる情報は含めないでください。
メモにない件数や時間は推測で埋めず、「要確認」と書いてください。
【業務メモ】
(ここに部署の業務メモを貼る。氏名は「担当A」などに置き換える)
合理的配慮として、AIツールを使えるようにする必要はありますか
三つ目の判断は、配慮の中身を会社だけで先に決めてしまわないことです。厚生労働省の障害者雇用促進法の解説によると、事業主には合理的配慮の提供が義務づけられています。その内容は本人との話し合いで決め、過重な負担になる場合は義務の対象から除かれます。読み上げ機能や音声入力、生成AIで指示書を短い文に直すといった手段は有力な候補です。ただし、本人にとって使いやすいかどうかは、実際に使ってみるまで分かりません。
配慮としてAIツールを渡す場合は、ほかの社員と同じ利用ルールを当てはめます。個人アカウントは使わせず、会社のアカウントを発行したうえで、入力してよい情報の範囲をほかの社員と同じ文面で説明してください。
採用前に、任せる仕事をすべて決めておくべきですか
四つ目の判断は、「最初の3か月で任せる仕事」と「その後に広げる仕事」を分けて書くことです。求人票に載せる業務は表の中から2〜3種類に絞り、残りは本人の得意・不得意を見てから加えます。AIの読み取り精度が上がると、確認の作業そのものが減っていくためです。仕事の量がAIの更新に振り回されないように、半年ごとに業務一覧を見直す日を先に決めておいてください。
切り出し方に迷う場合は、ハローワークの専門援助部門や、JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の地域障害者職業センターに相談できます。いずれも職務の切り出しや、ジョブコーチによる職場定着の支援について相談を受け付けています。
えらびの道では、半日の単発研修や標準コースで行う「研修」と、実際の業務に伴走して定着させる「コーチング」の2つの形で、生成AIの業務活用を支援しています。今回のテーマであれば、AI導入後に人の手に残った作業を作業単位で書き出す棚卸しや、切り出した作業の手順書を平易な文に直す作業を、貴社の実際の書類を使って一緒に進めることができます。雇用率の算定や合理的配慮の判断そのものについては、ハローワークや社会保険労務士への相談を前提としています。研修費用に人材開発支援助成金や自治体の補助金を使う場合の考え方は、AI研修に使える助成金・補助金まとめで整理しています。
障害者雇用で任せる作業の切り出しを、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて、生成AIを業務で使うための研修を行っています。研修専門の会社ではありません。普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしており、生成AIもその仕事で毎日使っている道具のひとつです。
研修では、貴社で実際に使っている書類をそのまま題材にします。この記事のように、障害者雇用で任せる作業を探し直す場合は、請求書の読み取りエラーの確認、書類のスキャンと保存、備品の実数の記録といった業務を扱います。生成AIでこれらを作業単位に分け、手順を文章にするところまでを一緒に進めます。汎用的な事例ではなく、翌日から使える形で持ち帰っていただけます。
事前のヒアリングに伺うのも、研修当日に講師を務めるのも、代表の喜多です。総務の方から伺った業務の流れや、AIを入れたあとに人の手に残った作業を、同じ人間がそのまま研修の内容に反映します。
AIを入れたあとの業務をどう組み直すか、まだ迷っている段階でもご相談いただけます。オンラインで30分、費用はかかりません。えらびの道まで、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
従業員40人未満でも障害者雇用の義務はありますか?
2026年7月から法定雇用率が2.7%になり、常用労働者37.5人以上の事業主が対象になりました。週20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人と数えるため、従業員の人数ではなく、所定労働時間をもとに常用労働者数を数え直して判断します。
障害者雇用で任せる仕事がない場合はどうすればいいですか?
部署単位ではなく作業単位で業務を書き出すと、AIやシステムを入れたあとにも人の手に残っている確認・整理・準備の作業が見つかります。切り出し方に迷う場合は、ハローワークの専門援助部門や地域障害者職業センターに相談できます。
合理的配慮としてAIツールを用意する必要はありますか?
合理的配慮の内容は、本人との話し合いで決めることが前提です。読み上げや音声入力、生成AIによる指示書の平易化は有力な候補ですが、使いやすさは人によって違います。導入する場合も、ほかの社員と同じ利用ルールと会社のアカウントで運用します。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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