「録音してもいいですか」だけでは足りません — 商談をAIで文字起こしする中小企業が、下期の商談前に決める同意・保存・共有

AI議事録個人情報保護情報管理

オンライン会議ツールの自動文字起こし、スマホの録音アプリ、AI議事録サービス。ボタン一つで会話が文章になるようになりました。ところが「相手の同意はどこまで取ればいいのか」が決まらないまま、担当者ごとの判断で下期の商談が始まろうとしている会社が少なくありません。

前提を一行だけ整理します。会話の録音そのものを一律に禁じる法律はありません。ただし、録音した音声とその文字起こしは、誰の発言かが分かる形で残る以上、個人情報として扱う必要が出てきます。個人情報の保護に関する法律では、利用目的の範囲を超えた取扱い(第18条)と、本人の同意のない第三者提供(第27条)が制限されています。文字起こしサービスへ音声を渡す行為は、多くの場合は第三者提供ではなく「委託」にあたりますが、その代わりに委託先を監督する義務が生じます(個人情報保護委員会のガイドライン(通則編))。

「録音してもよろしいですか」は取れているのに、AIに渡すことは伝えていません

相手の理解と実際のズレ

商談の冒頭で断りを入れるところまではできている会社が多いです。抜けるのは、その音声を外部のAIサービスに送る、という部分です。相手が想像しているのは自社の担当者が後で聞き返す姿であって、クラウドに音声が上がることまでは含んでいません。

社内で録音の許可とデータの取扱いの説明が同じ「同意」として扱われているために起きます。防ぐには一言を足すだけです。「録音して、AIの文字起こしで議事録にします。音声は当社の管理下に置き、学習には使われない設定です」。この設定が本当かどうかは、使っているサービスの契約プラン画面で先に確かめておきます。無料プランと法人プランで学習利用の扱いが違うサービスがあります。取引先からAI利用の確認書を受け取ったことがある会社なら、この差は相手にも見えています。

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入室前の雑談と、退出したあとの数十秒まで文字になっています

自動文字起こしは会議の開始と同時に回り始めます。相手が入室する前の身内の会話、休憩中の雑談、退出後に漏らした「あの部長、たぶん決裁権ないですね」の一言まで、話者名つきで残ります。

録音の開始と終了を人が決めていないことが原因です。ツール任せにすると、会議室の予約時間いっぱいが記録されます。開始を「全員がそろって、一言伝えたあと」に固定し、終了を「議題が終わった時点」と決めます。あわせて、原文を最初に開いた人が前後を削る一手間を、議事録作成の工程そのものに書き込んでおきます。

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議事録は配ったのに、文字起こしの原文が全社フォルダに残り続けています

原文の置き場所と権限

整えた議事録は関係者に配ったのに、元の文字起こし(言い直しも失言も込みの発言そのまま)が共有ドライブに置かれたままになります。権限は「社内全員が閲覧可」のことが多いです。

ツールの保存先が初期設定のままで、議事録と原文が同じ場所に落ちるためです。結果として、他部署の人が値引き交渉の生の会話を検索で読めてしまいます。原文と議事録は置き場所を分け、原文は案件担当と上長だけが開ける権限にします。生成AIを全社に広げる前には、共有フォルダの権限そのものの棚卸しも必要になります。

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「録音はご遠慮ください」と言われた瞬間、代わりの手順がありません

断られたときの手順

断られたあと、手元のスマホで黙って回してしまう担当者と、何も記録できないまま記憶だけで報告書を書く担当者に分かれます。断られた場合の手順を会社が決めていないので、その場の判断になります。

決めておく内容はシンプルです。断られたら商談中は手書きのメモにとどめ、終了後15分以内に自分の声で要約を吹き込み、その音声だけをAIに渡します。相手の発言そのものではなく自社担当者の要約なので扱いが変わります。ただし社名や担当者名は入るため、置き場所と保存期間は原文と同じ扱いにします。

下期の商談前に、この4列を埋めておきます

原文を消す時期

会議の種類ごとに決めておくと、担当者が現場で迷いません。

場面 相手に伝える言葉 原文の置き場所 消す時期
対面の商談 「録音してAIで議事録にします」という一言 案件フォルダ(担当と上長だけの権限) 受注・失注が確定した月の翌月末
オンラインの定例会議 開始前の口頭案内と、招待メールへの1行 案件フォルダ(参加者のみの権限) 次の定例が終わった時点
電話での問い合わせ 着信時の自動音声による案内 応対記録システム(顧客対応部署の権限) 対応完了から6か月後
社内会議 会議冒頭の口頭案内 部門フォルダ(部門メンバーの権限) 議事録を確定した翌週

原文から議事録を作らせるときは、残す情報と落とす情報を先に指定します。

以下は商談の文字起こしです。次のルールで議事録にしてください。
1. 決定事項・宿題・期限を先頭にまとめる
2. 個人の評価や人物評(「決裁権がなさそう」等)は出力しない
3. 金額と数量は発言のまま残し、推測で補わない
4. 誰の発言かは「当社」「先方」の2区分だけにする
5. 議題に関係のない雑談は出力しない

【文字起こし】
(ここに貼り付け)

商談の冒頭で伝える言い方に迷う場合は、文案そのものを作らせます。

BtoBの初回商談で、録音とAI文字起こしの了承を得る一言を3案作ってください。
条件: 20秒以内で言える/断りやすい聞き方にする/「学習には使わない設定」に触れる/
断られた場合にこちらが取る対応(手書きメモに切り替える)も添える

えらびの道では、生成AIの業務活用について半日の単発研修と標準コース、そして実業務に伴走するコーチングの2軸でご支援しています。今回のテーマでいえば、貴社が実際に使っている会議ツールの設定画面を一緒に開いて保存先と学習利用の設定を確認し、上の表の4列を貴社の会議の種類に合わせて埋めるところまでを、コーチングの中で扱えます。研修では、文字起こしの原文から議事録を作るプロンプトを、貴社の商談記録の様式に合わせて作り込みます。人材開発支援助成金や自治体の補助金の活用にも対応していますので、下期の予算と合わせてご相談ください。

商談の記録ルールを決めるところまで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修を行っています。研修を専門にしている会社ではなく、普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしていて、生成AIはそこで毎日使っている道具のひとつです。文字起こしの原文をどこに置くか、誰に開けるかといった話も、自分たちが日々決めている側からお伝えできます。

研修では、汎用的な事例ではなく、貴社が実際に使っている書類や商談の流れをそのまま題材にします。商談の冒頭で伝える同意の一言、文字起こしの原文と議事録の置き場所と権限の分け方、録音を断られたときの代わりの手順まで、貴社の下期の商談で使える形に落とし込みます。ひな形を配って終わりにはせず、その場で手を動かしていただきます。

進め方は、貴社がいまどうやって商談を記録しているかをうかがうところから始めます。使っている会議ツールや契約プランによって、学習利用の扱いも保存先の初期設定も変わるためです。事前のヒアリングに伺うのも研修当日に立つのも代表の喜多ですので、うかがった内容がそのまま当日の題材になります。

どこから決めればよいか迷っている段階でも構いません。えらびの道ではオンラインで30分のご相談をお受けしており、費用はかかりません。いまの記録の取り方と、気になっている点をお聞かせください。

よくある質問

商談の録音は相手の同意がないと違法になりますか?

会話の当事者が記録すること自体を一律に禁じる法律はありません。ただし録音と文字起こしは個人情報として扱う必要があり、無断の録音が発覚したときの取引関係への影響は法律論とは別に残ります。事前に一言伝えることを社内ルールにしておくのが現実的です。

オンライン会議の自動文字起こしは、参加者全員に伝える必要がありますか?

途中参加の人を含め、記録されている全員に伝わる形が必要です。招待メールに1行入れたうえで、開始時に口頭でも案内すると漏れません。相手側から中座や交代があった場合は、戻ってきたタイミングで改めて一言添えてください。

文字起こしのデータはどのくらい保存しておけばよいですか?

期間そのものより、消す時期を決めて記録に残しておくことが重要です。商談なら受注・失注が確定した翌月末、定例会議なら次回終了時点といった具合に、案件の区切りに紐づけると担当者が迷いません。無期限の保存は、権限設定の抜けがそのまま残り続けます。

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この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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