
AI研修の助成金を中小企業の助成率で見積もったら「大企業の扱いです」と言われました — 製造小売の会社が10月の中途入社前に数え直した、業種区分・資本金・常時雇用する労働者・判定の時点の4点
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
助成金の見積もりでは、助成率の前提である「中小企業に当たるかどうか」を最初に確かめます。この確認を飛ばすと、予算の数字はその前提ごと崩れます。制度の全体像はAI研修に使える助成金・補助金まとめで整理しています。この記事では、判定が分かれる4つの点を一つの会社の時系列で追います。
見積もりの前提は「製造業・従業員97名」でした
想定するのは、大分県内で洋菓子を製造し、直営店7店舗で販売している会社です。資本金は6,000万円で、役員とパート・アルバイトを含めて97名が働いています。9月上旬、総務課長が全社員向けの生成AI研修を「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース」で組みました。そのうえで中小企業の助成率を掛けて、戻ってくる額を下期予算に入れました。「製造業なら資本金3億円以下で中小企業に当たる」と考えたためです。
9月16日、計画届の下書きを読んだ顧問社労士から「売上の大半が直営店なので、業種は小売業になると思います。資本金も人数も小売業の基準を超えるので、大企業の扱いです」と連絡がありました。判定の基準は厚生労働省の人材開発支援助成金のページで公開されている支給要領に定められています。下の表の数字も、最新の支給要領と窓口で必ず確かめてください。
| 業種区分 | 資本金の額が次の場合 | 常時雇用する労働者が次の場合 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下の場合 | 50人以下の場合 |
| サービス業 | 5,000万円以下の場合 | 100人以下の場合 |
| 卸売業 | 1億円以下の場合 | 100人以下の場合 |
| その他の業種(製造業など) | 3億円以下の場合 | 300人以下の場合 |
資本金と労働者数のどちらか一方を満たせば中小企業として扱う、という組み立てになっています。
製造小売は「製造業」ではなく「小売業」に分かれます
業種は主たる事業で判断し、総務省の日本標準産業分類に当てはめます。自社で作った菓子を自社の店で売る形は、分類上「菓子小売業(製造小売)」として小売業の中に置かれています。工場を持っていても、業種区分が製造業になるとは限りません。
この会社は売上を販路ごとに分け直しました。直営店が74%、百貨店・スーパーへの卸が19%、通販が7%でした。主たる事業を売上で見るのか、従業員の配置で見るのかについても、労働局に照会する項目に加えました。
資本金は登記された額で見ます — 資本剰余金は足しません
決算書の純資産の部には「資本金」と「資本剰余金」が並んでいます。判定に使うのは資本金の額(または出資の総額)で、資本準備金を合算した額ではありません。この会社は2021年に3,000万円から6,000万円へ増資しています。登記事項証明書で確かめたところ、小売業の基準である5,000万円を超えていました。そのため、資本金の側では中小企業に当たりません。判定は人数の側に移りました。
97名のうち、何名を「常時雇用する労働者」に数えるのでしょうか
総務課長が最初に出した数は、雇用保険の被保険者数の88名でした。しかし支給要領でいう常時雇用する労働者は、2か月を超えて使用される見込みがあり、週の所定労働時間が通常の労働者とおおむね同じ人を指す趣旨で定義されています。雇用保険に加入している週20時間のパートでも、ここには数えない場合があります。
| 区分 | 人数 | 総務課長が置いた扱い |
|---|---|---|
| 正社員(週40時間) | 40名 | 数える扱い |
| パート(週38時間・更新あり) | 8名 | 数える扱い |
| パート(週32時間・更新あり) | 6名 | 窓口に確認する扱い |
| パート(週20時間前後) | 34名 | 数えない扱い |
| 取締役 | 4名 | 数えない扱い |
| 夏季の短期アルバイト(8月末まで) | 5名 | 数えない扱い |
週32時間の6名を含めると54名、外すと48名になります。名簿の仕分けには生成AIを使いました。ただし渡したのは社員番号・雇用区分・週所定労働時間・入社日・契約終了日だけで、氏名と賃金は外しています。
以下は当社の従業員一覧です(社員番号・雇用区分・週所定労働時間・入社日・契約終了日)。
基準日を2026年9月30日として、次の区分で行を仕分け、区分ごとの人数を表にしてください。
- A: 週所定労働時間が40時間
- B: 週所定労働時間が35時間以上40時間未満
- C: 週所定労働時間が30時間以上35時間未満
- D: 週所定労働時間が30時間未満
- 契約終了日が入社日から2か月以内の行は、上とは別に「短期」として分けてください
- 基準日より後に入社する予定の行は、別の表にしてください
「常時雇用する労働者に当たるかどうか」の判断はしないでください。判断は当社が支給要領と窓口の回答で行います。
AIには区切りの線だけを渡し、判断は任せませんでした。「おおむね同じ」の解釈をAIに委ねると、根拠を説明できない数字が計画届に載ってしまうためです。なお、この人数は判定のための数で、受講者名簿に誰を載せるかとは別の問題です。役員やパートが訓練の対象になるかどうかは、対象労働者から外れる人を見分ける記事で整理しています。
10月1日の3名の入社で、判定の前提が動きます
10月1日には、正社員3名の中途入社が決まっていました。入社後は54名が57名に、狭く数えた48名も51名になり、どちらで数えても小売業の50人を超えます。どの時点の人数で判定するかによって、結論が変わる位置にいたことになります。そこで、次の順で決めました。
- 業種の判断、週32時間のパートの扱い、判定の基準日の3点を労働局に照会します。
- 回答が出るまで、下期予算は大企業の助成率で組みます。中小企業に当たった場合の差額は、上振れとして別枠に置きます。
- 基準日時点の名簿、販路別の売上構成、登記事項証明書の写し、照会した日付と窓口と回答の要旨を、計画届の控えと一緒に綴じます。
人数が50人を下回っているうちに計画届を急いで出す、入社日をずらす、といった調整はしませんでした。採用は事業の都合で決めるものです。助成率に合わせて動かすと、支給申請のときに説明がつかなくなります。判定の根拠を綴じておいたのも、実施後の支給申請や後日の確認で同じ質問を受けたときに、その場で出せるようにするためです。
えらびの道では、半日の単発研修や標準コースといった「研修」と、実際の業務に伴走して使い方を定着させる「コーチング」の2つの形で生成AIの活用を支援しています。人材開発支援助成金や自治体の補助金を使う場合の段取りにも対応しています。この記事のテーマで当社が手伝えるのは、計画届に載せる訓練時間とカリキュラムの組み立てと、貴社の名簿の形式に合わせた仕分け用プロンプトの作成です。中小企業に当たるかどうかの判断そのものは労働局と顧問社労士の領分なので、照会する項目を整理するところまでを一緒に行います。
助成金の前提確認から、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて、生成AIを業務に活かすための研修を行っています。本業はシステムの受託開発と自社サービスの運用です。生成AIも、その仕事で毎日使っている道具のひとつです。研修でお伝えするのは、その現場で実際に使っているやり方です。
研修の題材には、貴社で実際に使っている書類をそのまま使います。製造小売の会社であれば、販路別の売上の集計表や、雇用区分ごとに人数を整理する表を生成AIで下書きします。そのうえで、どこを人の目で確かめるべきかまで一緒に扱います。汎用的な事例ではなく、翌日から使える形でお持ち帰りいただけます。
大分市の人材育成応援事業などの制度を使う場合は、申請書類の作成もお手伝いします。見積もりの前に、業種区分・資本金・常時雇用する労働者の数といった前提を貴社と一緒に書き出します。判断が分かれそうな点は、社労士や労働局に確認する事項として整理します。事前のヒアリングに伺うのも研修当日に立つのも代表の喜多なので、確かめた前提をそのまま研修の設計に反映できます。
助成率の前提も研修の中身も、まだ固まっていない段階で構いません。ご相談はオンラインで30分、費用はかかりません。貴社の状況をうかがったうえで、お手伝いできる範囲を率直にお伝えします。
よくある質問
AI研修の助成金で、中小企業かどうかはどう判定しますか?
主たる事業の業種区分ごとに、資本金の額と常時雇用する労働者の数の基準が決められています。どちらか一方を満たせば中小企業として扱われます。製造小売が小売業に分類されるように、業種区分の当てはめで結論が変わることがあるため、最新の支給要領で基準を確かめ、迷う場合は労働局に照会してください。
パートやアルバイトは常時雇用する労働者に数えますか?
雇用保険に加入していることが、そのまま数える理由にはなりません。支給要領では、2か月を超えて使用される見込みがあり、週の所定労働時間が通常の労働者とおおむね同じ人を指す趣旨で定義されています。週の所定労働時間が短めのパートの扱いは、名簿を示したうえで窓口に確かめるのが確実です。
従業員が増えると、途中で助成率が変わりますか?
どの時点の人数で判定するかは、支給要領で定められています。計画届を出した後に採用で人数が動く予定があるなら、提出前に判定の基準日を窓口で確かめてください。予算は低いほうの助成率で組んでおけば、判定の結果が出たときに計画が崩れずに済みます。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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