AI研修の助成金に「賃上げの加算」を乗せられるか — 10月の最低賃金改定で上がる分は要件に数えられるのか、下期の昇給を決める前の4つの確認

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

人材開発支援助成金には、訓練を修了した後に賃金を引き上げた場合や資格手当を支給した場合に、助成率が上乗せされる「賃金要件・資格等手当要件」があります(厚生労働省の人材開発支援助成金のページ)。10月にAI研修を始める会社にとって、この時期は最低賃金の改定と重なります。「どうせ10月に上がるのだから、その分を加算の材料にできないか」というご相談が、お盆明けから増えます。分かれ目は、上がった事実ではなく、何によって上がったのかです。

10月に上がる分は、会社が決めた昇給とは別に置きます

最低賃金の改定と昇給の違い

使用者は地域別最低賃金以上の賃金を支払わなければならないと法律で定められています(最低賃金法)。改定額に合わせて時給を上げるのは、会社の判断による昇給ではなく、下限が動いたことへの対応です。一方で賃金要件が見ているのは、訓練を修了した後に会社が賃金を引き上げたかどうかです。性質が違うものを一緒にすると、実施報告の段階で説明が立たなくなります。

数えられるかどうかの最終的な判断は、その年度の支給要領と管轄の労働局によります。ここを曖昧にしたまま昇給を決めてしまうと、後から取り返せません。改定の影響額そのものの読み方は最低賃金の引き上げに備える人件費シミュレーションに整理しています。

あわせて読みたい最低賃金の引き上げに備える人件費シミュレーション — 生成AIで影響試算と対策案を1日でまとめる3ステップ

4つの問いで、加算を狙う会社と見送る会社に分かれます

昇給を決める前の4つの問い

下期の昇給を決める前に、次の4つを自社の条件に当てて答えを出します。

昇給を決める前の問い 加算を狙える見込みが立つ場合 見送りを検討する場合
上がる分は何によるものか 会社の判断で定期昇給やベースアップを行う場合 最低賃金の改定に合わせるだけの場合
どの賃金項目まで数えるのか 基本給と対象の手当だけで要件の率に届く場合 通勤手当や割増賃金を足さないと届かない場合
誰の賃金が上がるのか 受講者を含む形で規程を改定できる場合 受講しない人だけが上がる場合
昇給日はいつ来るのか 訓練の修了後に昇給日が来る場合 訓練の修了前に昇給が済んでしまう場合

4つのうち1つでも右側に寄ると、加算は不確かになります。要件の率や対象範囲は年度ごとに変わりますので、最新の支給要領と窓口で必ず確認してください。

比べるものさしが時間あたりなのかを確かめます

試算の対象になる受講者

同じ「月に5,000円上げます」でも、時間あたりで比べるか月額で比べるかで率が変わります。所定労働時間の設定や、対象に含める手当の範囲によっても動きます。試算の組み立てだけをAIに任せ、要件の判定は人と労働局に残します。

あなたは給与計算の実務担当です。
下の条件で、賃上げ率を確かめる計算表の項目を組み立ててください。
・比較する時点: 訓練開始前の月と、訓練修了後の昇給が反映された月
・対象者: 受講予定の12名(月給者8名、時給者4名)
・出したいもの: 1人あたりの時間あたり賃金と、その増減率
計算に含める賃金項目と、含めるか迷う項目を分けて一覧にしてください。
助成金の要件の判定はせず、項目の整理だけを行ってください。

昇給の理由は、規程の改定日と賃金台帳で説明します

昇給の理由を示す5つの日付

加算を狙うなら、研修を実施する側の日程も一緒に固めます。訓練計画に書いた修了予定日、受講記録の発行時期、賃金規程の改定日、辞令の日付、賃金台帳に反映される月。この5つが並んで初めて、昇給の理由を書類で示せます。実施報告で求められる記録の作り方は受講記録や出勤簿の残し方の記事に整理しています。

あわせて読みたいAI研修の助成金は「終わってから」では間に合わない — 秋開始前に決める受講記録・出勤簿・eラーニングログの残し方

見送る判断も、下期には十分ありえます

加算はあくまで上乗せですので、狙わなくても本体の助成は受けられます。下期の業績が読み切れない段階で賃上げを約束するより、本体分だけで確実に組む選択は現実的です。その場合は、どのコースで申請するかの検討に時間を戻します(人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースの分岐点)。迷いが残るときは、質問の形にして窓口に持ち込みます。

次の状況で、労働局に確認する質問を6つ、箇条書きで作ってください。
・10月にOFF-JTのAI研修を開始し、翌年1月に修了する予定です
・10月の最低賃金の改定で、時給者4名の時給が上がります
・2月に賃金規程を改定し、受講者を含む12名の基本給を上げる予定です
質問は、誰の賃金を・どの時点と比べ・何の書類で示すのかが
特定できる形にしてください。要件を満たすかどうかの判断は書かないでください。

えらびの道は、半日の単発研修と標準コース、実業務に伴走するコーチングの2軸で提供しています。人材開発支援助成金や自治体の補助金の活用にも対応しています。今回のような場面では、訓練の開始日と修了予定日、時間割、受講記録や修了証を出せる時期を、昇給日を決める前に書面でお渡しします。賃金の決め方そのものは会社と社会保険労務士の領域ですので、こちらは訓練側の日程と書類を、判断できる形で先に出すところを担います。

賃上げの要件を確かめるところから、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修を行っています。研修だけを専門にしている会社ではなく、普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしています。生成AIは、その現場で毎日使っている道具のひとつです。

研修では汎用的な事例ではなく、貴社が実際に使っている書類をそのまま題材にします。賃上げ率を確かめる計算表の組み立てや、賃金台帳と規程の改定日を突き合わせる下準備、実施報告に向けた資料の整理といった、この記事で触れた作業をそのまま演習に組み込めます。翌日から同じ手順で進められる形にして持ち帰っていただきます。

大分市の人材育成応援事業などの制度を使う場合は、申請書類の作成もお手伝いします。要件の最終的な判断は支給要領と労働局に委ねるという線引きは変えずに、社内で用意する部分の段取りをご一緒します。

事前のヒアリングに伺うのも、研修当日に立つのも代表の喜多です。オンラインで30分ほど、費用はかかりませんので、下期の昇給を決める前の整理としてお使いください。

よくある質問

最低賃金の引き上げ分は、助成金の賃上げ要件に数えられますか?

数えられるかどうかは、その年度の支給要領の定めと管轄労働局の確認によります。法律で下限が動いたことへの対応と、会社の判断による昇給は性質が違いますので、昇給を決める前に、どの分が何によって上がったのかを分けて説明できる形にしておいてください。

賃上げの加算を狙わないと、AI研修に助成金は使えませんか?

加算は上乗せの仕組みですので、狙わなくても本体の助成は受けられます。下期の業績が読みにくい時期に賃上げを先に約束するより、本体分だけで組んで確実に受け取る判断も現実的です。加算の可否は翌年度に改めて検討することもできます。

昇給はいつ実施すれば要件の対象になりますか?

訓練の修了後という前後関係が要件に関わりますので、修了予定日と昇給日の順番を先に確認してください。適用の条件はコースや年度の要領で変わりますので、訓練計画を提出する前に労働局へ確かめておくと、日程を組み直す手戻りが起きません。

ご相談は、お電話が一番早いです

研修の内容・料金・補助金の使い方まで、その場でお答えします

097-507-3082

不在時は折り返しご連絡します

この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

あわせて読みたい