
生成AIの活用を人事評価に入れるか — 下期の目標設定で起きる4つの失敗と、あえて評価から外した会社の判断
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
下期の目標設定シートを配る時期になると、「AI活用」の一行を評価項目に入れるかどうかで管理部門が止まります。入れれば全社に本気度が伝わり、外せば「結局やらなくていい」と受け取られます。判断を誤ったときに何が起きるのかを、先に見ておきます。
「AIを何回使ったか」を指標にしてしまう
最初に出てくる案が、利用回数やプロンプトの提出件数です。理由ははっきりしていて、人事が期末に集計できる数字がそれしかないからです。結果として、期末の1週間だけログが跳ね上がり、社内メールを要約させただけの履歴が並びます。
数えるものを「回数」から「置き換えた工程」に変えてください。期初に1人1〜2件だけ、対象業務と置き換える工程を宣言してもらい、期末はその業務の現物で見ます。利用ログは管理者の点検用に残し、評価には使いません。
使ったことのない上司が評価者になる
評価者が自分で触っていないと、判定材料が本人の説明だけになります。詳しそうに話す人が高く付き、黙って毎日使っている人が低く付きます。この逆転が一度起きると、AI活用は「口のうまい人の得点源」と見なされ、現場が冷めます。
評価項目に入れる前に、評価者を先に受講させてください。順番が逆になると修正がききません。難しければ、判定をAI下書きと修正後の完成版という現物に寄せます。管理職側の入口としては、評価コメントの下書きのように自分の手元で効き目が分かる業務から始めると定着しやすくなります。
浮いた時間の行き先を決めないまま、削減時間を評価する
「月8時間削減」と申告した人に、翌月から別の仕事が回ります。悪意はなく、手が空いたように見えるので当然そうなります。ただし本人から見れば、正直に申告した人だけ仕事が増えて、評価は横並びです。翌期から誰も数字を出さなくなります。
期初に、削減した時間の使い道をセットで決めてください。「支払通知書の作成を3日から1日にして、空いた2日を新任担当の引き継ぎ資料にあてる」まで書かせます。評価するのは削減幅ではなく、振り替えた先に何が残ったかです。
社内ルールより先に、評価項目だけが走る
評価に入れば、使う人は必ず増えます。ガイドラインも会社が契約したアカウントもないまま項目だけ先行すると、増えた分は個人アカウントに流れます。顧客名や単価の入った文書が、誰も把握していない環境に入ります。評価で背中を押した以上、これは会社側の責任になります。
順番は利用ガイドラインと利用環境が先、評価項目が後です。入力してよい情報の範囲と、会社が用意するアカウントの2つは、シートを配る前に確定させてください。
評価に入れた会社と、あえて外した会社
同じ相談内容でも判断は割れます。分かれ目になったのは意欲の差ではなく、次の5点の状態でした。
| 確認する点 | 評価項目に入れた会社の場合 | あえて外した会社の場合 |
|---|---|---|
| 対象業務 | 全員が日常的に文書や数字を扱う場合 | 現場作業が中心で端末に触れない人が多い場合 |
| 社内ルール | ガイドラインと会社アカウントが動いている場合 | どちらもこれから整える場合 |
| 評価者 | 管理職が自分の業務でも使っている場合 | 管理職がまだ触っていない場合 |
| 期の位置づけ | 試行を終えて2期目に入る場合 | 導入初年度で試している最中の場合 |
| 判定材料 | 成果物と所要時間を記録で残せる場合 | 記録の仕組みがまだない場合 |
外した会社が何もしないわけではありません。評価からは外し、「下期は各課で1業務ずつ試す」を業務指示として出す形をとります。評価に入れるのは次の期です。対象業務の選び方は、任せる範囲の線引きを先に済ませておくと決めやすくなります。
目標文そのものは、次のプロンプトで下書きを作れます。
下期の目標設定シートに書く、生成AI活用の目標文を作ってください。
【対象者】経理課 主任・勤続8年
【対象業務】月次の支払通知書の作成(毎月120件・3営業日)
【今期やること】AIで下書きを作り、金額と宛先の確認は人が行う形に変える
【浮いた時間の使い道】新任担当への引き継ぎ資料を整える
次の4点を1文ずつ、期末に評価者が達成・未達を判定できる書き方で出してください。
1. 期末に何ができていれば達成といえるか
2. 判定のために提出する現物は何か
3. 評価の対象にしない範囲はどこか
4. 目標を下方修正する場合の条件は何か
出てきた文は本人と上司で読み合わせてください。特に3番目は、会社が入力を認めていない情報を扱う業務が紛れていないかの確認になります。
えらびの道では、半日の単発研修と標準コース、実業務に伴走するコーチングの2軸で支援しています。人事評価に入れる前提で進める場合は、評価者となる管理職向けの研修を先に置き、目標設定シートの文言づくりと期末の判定材料の決め方をコーチングの中で一緒に組み立てます。研修費用については、人材開発支援助成金や自治体の補助金の活用に対応しています。要件は年度や事業所によって異なるため、申請の可否は個別に確認したうえでお伝えします。
AI活用を評価に入れる前の準備で、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修を行っています。ただ、研修専門の会社ではありません。普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしていて、生成AIもそこで毎日使っている道具のひとつです。教科書どおりの手順ではなく、実際に業務で回してみた感触からお話しできます。
研修では、貴社が実際にお使いの書類をそのまま題材にします。下期の目標設定シートや、記事で触れた支払通知書の作成、新任担当への引き継ぎ資料といった業務を持ち込んでいただければ、置き換えられる工程はどこまでかを一緒に切り分けます。評価者になる管理職の方に先に受けていただく形も組めますので、順番を逆にしないための準備としてもお使いいただけます。
大分市の人材育成応援事業などの補助金を使われる場合は、申請書類の作成もえらびの道でお手伝いします。研修当日に立つのも、事前のヒアリングに伺うのも同じ人間(代表の喜多)ですので、事前に伺った内容がそのまま当日の題材になります。
評価項目に入れるかどうかを決めかねている段階でも構いません。オンラインで30分、費用はかかりませんので、現状をお聞かせいただければと思います。
よくある質問
AI活用を人事評価の項目に入れるべきですか?
全社一律で決める話ではありません。管理職が自分でも使っていて、ガイドラインと会社アカウントが動いていて、成果物を記録で残せる状態なら入れて構いません。どれか欠けているなら、下期は業務指示として出し、評価に入れるのは次の期にしたほうが混乱が少なくて済みます。
評価項目にする場合、どう書けばよいですか?
「AIを積極的に活用する」のような意欲を書くと判定できません。対象業務と、期末に提出する現物と、評価しない範囲の3点を入れてください。「支払通知書の下書きをAIで作り、確認手順書を期末に提出する」のように、達成と未達が分かれる形にします。
現場作業が中心の社員はどう扱えばよいですか?
端末に触れない職種を共通項目に含めると、達成しようのない目標が残ります。対象業務がある職種に限定し、それ以外は評価から外してください。代わりに、日報や報告書の様式を見直す管理側の目標として持たせると、現場の負担を増やさずに範囲を広げられます。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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