
サイトのAIチャットが答えた納期で客先が発注しました — 下期のWeb予算でAI窓口を公開する前に決める、免責表示・回答範囲・引き継ぎ・更新の4本の線
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
下期のWeb予算でサイトを作り直すとき、見積の中に「AIチャット窓口」が入っていることが増えました。問い合わせフォームより手前で拾えるので、費用対効果の説明もしやすい項目です。ただ、公開してから慌てるのは、たいてい機能ではなく線引きのほうです。
公開9日目、チャットは2年前のPDFを正しく読んでいました
大分県内で包装資材を扱う、従業員52名の商社の想定です。9月1日にサイトを刷新し、社内FAQと商品PDFを読ませたAIチャットを試験公開しました。狙いは営業時間外の一次対応でした。
公開9日目、食品加工の客先が特注フィルムの納期を尋ね、チャットは「標準納期は5営業日です」と返しました。担当者はその画面を保存し、翌朝そのまま発注書を送ってきました。実際は原反の入荷待ちで12営業日かかり、代替品の手配と2回の謝罪訪問、特急便で8万4千円の追加費用が出ました。
「5営業日」は2年前の商品PDFに載っていた数字です。チャットは古い資料を正しく読み、正しく答えていました。ここが厄介なところで、AIの精度を上げても同じことが起きます。
免責は「置く場所」を、起動時から回答ごとへ変えました
免責文は起動時のポップアップに出していましたが、客先の担当者は一度閉じたあと9往復していました。読まれない位置に置いた免責は、無いのとほとんど同じでした。
本公開では、回答の末尾に1行を固定で添える形にしました。「この回答は社内資料の要約です。納期・価格は担当者の回答をもって確定します」という文です。経済産業省の電子商取引及び情報財取引等に関する準則でも、ウェブ上の表示が申込みの誘引にとどまるのか申込みにあたるのかは、表示の仕方から判断すると整理されています。確定情報に見えるかどうかは、画面の作り方の問題でもあります。国が示す考え方はAI事業者ガイドラインにもまとまっており、透明性の項が参考になります。
答える質問より先に、答えさせない質問を書き出しました
この会社は「何を答えられるか」から入って詰まりました。順序を逆にして、金額と日付に触れる質問を先に外したところ、範囲が一晩で決まりました。
| 問い合わせの種類 | チャットに任せる範囲 | 引き継ぐ条件 |
|---|---|---|
| 会社情報・営業時間・送料の種類 | 登録した定型文をそのまま返す範囲 | 引き継がない条件 |
| カタログ品の仕様・規格の種類 | 資料の該当箇所を引用して返す範囲 | 型番が特定できないときに渡す条件 |
| 納期・在庫・単価の種類 | 答えを出さず担当窓口を案内する範囲 | 質問が出た時点で渡す条件 |
| 特注・返品・不具合の種類 | 用件と連絡先だけを聞き取る範囲 | 最初の一往復で渡す条件 |
引き継ぎの合図を、語句・往復回数・時間帯で決めました
「担当者におつなぎします」を最後の逃げ道にしていると、渡す判断がチャット側に残り続けます。合図を機械が判定できる形に落としました。
【回答ルール】
- 参照してよいのは、指定した社内資料だけとします。資料にない内容は答えません。
- 次の語を含む質問には回答せず、引き継ぎ案内を返します。
納期/いつ届く/在庫/単価/値引き/不良/返品
- 同じ用件で2往復しても解決しない場合は、引き継ぎ案内に切り替えます。
- 平日17時以降と休日は、回答の冒頭に翌営業日対応である旨を入れます。
- 回答の末尾に必ず次の1行を付けます。
「この回答は社内資料の要約です。納期・価格は担当者の回答をもって確定します。」
引き継いだ先で誰がいつ返すかまで決めないと、待たせ方が悪化します。人に戻す設計そのものの考え方は、電話の一次対応をAIに任せるか、人を1人増やすかでも整理しています。
回答の出どころは、月末最終営業日の30分で直します
古い数字を消す担当を決めていなければ、同じ事故が繰り返されます。この会社は営業事務の1名を更新担当に置き、月末最終営業日の30分を固定枠にしました。
次の2つを比べて、チャットの回答が変わる箇所だけを抜き出してください。
【旧】先月版のFAQと商品資料
【新】今月版のFAQと商品資料
出力は表とし、列は「変わった項目」「旧の記載」「新の記載」「影響度(大・中・小)」とします。
日数・金額・数量の変更は、差が小さくても「大」に分類してください。
会話ログには社名・氏名・電話番号が入ります。保存期間と閲覧できる担当者を先に決め、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)に沿って取扱いを社内文書に書き足しました。なお、下期のWeb予算そのものの立て方は順位は落ちていないのに問い合わせだけが減りましたで触れています。
えらびの道では、AI窓口を公開する前のこうした線引きを、半日の研修と実業務に伴走するコーチングの2軸でお手伝いしています。研修では貴社のFAQと商品資料をそのまま題材にして、答えさせない質問を先に外す作業まで進めます。コーチングでは回答ルールの原稿づくり、引き継ぎ後の営業側の受け方、月末の更新作業が続く形になるまでを一緒に回します。費用には人材開発支援助成金や自治体の補助金を使える場合があり、要件はAI研修に使える助成金・補助金まとめに整理しています。
AI窓口を公開する前の線引きから、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修を行っています。研修だけを専門にしている会社ではありません。普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用が本業で、チャット窓口の実装も回答の出どころの管理も、自社の現場で日々扱っている作業です。
研修では、貴社が実際に使っている書類をそのまま題材にします。この記事で扱ったAIチャット窓口であれば、貴社の社内FAQと商品資料を開き、答えさせない質問を先に外して、回答ルールの原稿と免責の1行、引き継ぎの合図までをその場で書き出します。汎用的な事例ではなく、公開前の点検としてそのまま使える形になります。
事前のヒアリングに伺うのも当日に立つのも、えらびの道の代表である喜多です。試験公開で実際に起きたやり取りを先に伺い、そのまま当日の題材にできます。研修に補助金を使う場合も、大分市の人材育成応援事業などであれば、申請書類の作成からお手伝いします。
下期の公開までに何から決めればよいか、整理がつかない段階でも構いません。まずはオンラインで30分、費用はかかりません。試験公開中のチャットが受けている質問を伺えれば、どこに線を引けそうかをご一緒に整理します。
よくある質問
AIチャットの回答は会社の約束になりますか
表示の仕方によって変わります。確定情報のように見える画面のまま出していると、後から「そう聞いた」と言われたときの反論が難しくなります。回答ごとに確定の主体を書き添え、納期や価格は担当者の回答で確定する形にしておくと、争点が小さくなります。
免責文はどこに出せばよいですか
起動時のポップアップだけでは足りません。利用者は一度閉じると読み返さないためです。回答1件ごとに末尾へ1行を固定で添え、納期・価格・数量に触れた回答では省かれない設定にしておくと確実です。
チャットのログはどのくらい残せばよいですか
社名や氏名が入る前提で、保存期間と閲覧できる担当者を先に決めておきます。納期や金額をめぐる問い合わせでは、後から会話をたどれること自体が自社を守る材料になりますので、短くし過ぎない期間も併せて検討します。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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