AIを使うと残業代が減るから使わない、と言われたら — 冬の賞与を決める前に比べる賞与・手当・基本給・時短の4つの還元策

生成AI活用残業代賃金制度

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

「残業代が減るなら使わない」は、家計の計算から出ています

残業削減で動くお金の規模

従業員42名の会社が、受注事務の5名に生成AIで見積書と受注入力の下書きを任せる場面を考えます。試算では、1人あたり月8時間の残業が減ります。時給に換算して1,800円の人なら、割増後の単価は2,250円です。月に18,000円、年間では約21万6,000円の収入が減ることになります。

「使うと損をする」と言われている状態では、ガイドラインを整えても研修をしても活用は進みません。一方で会社の側では、5名分で年間約108万円の残業代が浮きます。この原資のうちどれだけを、どの形で戻すかを冬の賞与の査定より前に決めておくと、話が前に進みます。なお、報告上の削減時間と実際の残業が一致しないこともよくあります。その場合は原資の見積もりから狂うので、「AIで年間1,200時間削減」と報告が上がったのに残業が減っていませんで扱った数え直しを先に済ませてください。

あわせて読みたい「AIで年間1,200時間削減」と報告が上がったのに残業が減っていません — 上期末に数え直す4つの数字と、助成金が見ている労働生産性の定義

4つの還元策を、同じ物差しで並べます

還元策 向いている会社 残業代の単価 下げたくなったときの手続き つまずく場面
冬の賞与に上乗せ 削減時間が人によって大きく違う会社 据え置きの単価 次の支給時に金額を決め直す手続き 査定期間とAIを入れた時期がずれる場面
業務手当を新設(月額) AIを使う業務が特定の係に限られる会社 手当の分だけ上がる単価 就業規則を改定し、意見聴取をする手続き 使わない人にも払うかで揉める場面
基本給を改定 効果が数年続くと見込める会社 改定した分だけ上がる単価 個別の同意か、変更の合理性の説明が要る手続き AIの効果が一時的だった場面
所定労働時間を短縮 社員が収入よりも早く帰ることを望む会社 短くした時間の分だけ上がる単価 所定時間を戻す就業規則改定の手続き 繁忙期に残業が戻る場面

賞与と手当では、残業代の単価への跳ね返りが逆になります

還元策ごとの残業単価の変化

労働基準法第37条第5項と労働基準法施行規則第21条により、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は割増賃金の基礎に入りません。賞与はこれにあたるため、上乗せしても残業の単価は変わりません。除外される手当は家族手当や通勤手当、住宅手当などに限られています。そのため、「AI活用手当」を毎月払えばその分は基礎に入り、単価も上がります。基本給を改定したときも同じです。

見落とされやすいのが所定労働時間の短縮です。月給を据え置いたまま1日8時間を7時間30分にすると、時間単価は約6.7%上がります。残った残業にも上がった単価が適用されるので、「残業は減っても時給は上がった」と説明できます。

注意が要るのは、固定的な賃金を上げたあとに下げる場合です。労働契約法第9条・第10条の不利益変更の問題になります。また、手当や所定時間を変えるには就業規則の変更が必要です。常時10人以上の事業場では、労働基準法第89条・第90条にもとづく届出と過半数代表者からの意見聴取も必要になります。

条件ごとに、どれを選ぶかを決めます

条件別・還元策の選び方

  • 削減時間の個人差が大きい場合は、賞与を選びます。査定期間の実績に応じて配分でき、翌年は決め直せます。
  • AIを使う業務が特定の係に限られる場合は、手当を選びます。対象業務を支給要件として文書に書き、使わない係との線引きを先に示します。
  • 効果が2年以上続く見込みがあり、採用でも賃金水準を示したい場合は、基本給の改定を選びます。
  • 社員が「お金より早く帰りたい」と言っている場合は、所定時間の短縮を選びます。

迷う場合は、今冬は賞与で始めて、半年分の実績を見てから固定的な形に移すのが、あとで戻しやすい順番です。AIの活用を人事評価の項目にまで入れるかどうかは別の判断になります。こちらは生成AIの活用を人事評価に入れるかで整理しています。

あわせて読みたい生成AIの活用を人事評価に入れるか — 下期の目標設定で起きる4つの失敗と、あえて評価から外した会社の判断

査定の前に、1人ずつの削減時間を数えます

1人ずつの削減時間の数え方

還元額の根拠は、部署の平均値ではなく1人ずつの差分に置きます。勤怠データを生成AIに渡すときは、氏名を社員番号に置き換えます。

以下は受注事務5名について、生成AI導入前(4〜6月)と導入後(7〜9月)の月別残業時間です。
氏名は社員番号に置き換えています。

[CSVを貼り付け]

次の表を作ってください。
- 社員番号ごとに、導入前後の月平均残業時間とその差
- 差に割増後の時間単価(別表)を掛けた、月あたりの残業代の減少額
- 繁忙月の9月を除いて計算した場合の差
計算の途中式を残してください。推測で数字を補わないでください。

導入の前後で季節が違うので、前年の同じ月とも並べて見ます。AIが出した合計は、必ず表計算ソフトで検算してください。

えらびの道では、生成AIの「研修」(半日の単発/標準コース)と、実業務に伴走して定着させる「コーチング」を提供しています。今回のテーマでは、導入前後の削減時間の測り方の設計、勤怠データを匿名化してAIで集計する手順づくり、還元策を社員に説明する資料の下書きまでをお手伝いできます。賃金制度や就業規則の最終判断は、顧問の社労士の先生と進めていただく形になります。研修費用に人材開発支援助成金や自治体の補助金を使う場合の整理は、AI研修に使える助成金・補助金まとめにまとめています。

残業代の還元策を決める前に、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修を行っています。研修だけを専門にしている会社ではありません。普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしており、生成AIもそこで毎日使っている道具のひとつです。

研修では、貴社で実際に使っている見積書や受注入力の書類をそのまま題材にします。どの作業をAIに任せ、実際に何時間減ったのかを実務に沿って確かめます。その結果は、還元策を比べる前に原資を見積もる材料にもなります。汎用的な事例ではなく、翌日から使える形で持ち帰っていただきます。

事前のヒアリングに伺うのも、研修当日に講師を務めるのも、代表の喜多です。「使うと損をする」と感じている方の事情も含めて伺い、研修の中身に反映します。なお、賃金や就業規則の変更は、社会保険労務士などの専門家と進めていただくことを前提としています。

冬の賞与を決める前に、AIに任せる業務の範囲を整理しておきたい場合は、えらびの道へご相談ください。オンラインで30分、費用はかからずにお話を伺います。

よくある質問

AIで減った残業代を、賞与で還元してもいいですか?

問題ありません。賞与は割増賃金の基礎に入らないため、残業の単価は変わりません。支給のたびに金額を決め直せるので、AIの効果がまだ読めない最初の年に向いています。査定期間と導入時期がずれないように、評価の対象月を先に決めておいてください。

生活残業をやめてもらうには、どうすればいいですか?

残業の承認制を厳しくするだけでは、不満が表に出にくくなるだけです。減った残業代をどの形で戻すかを先に示すと、AIを使う理由が本人の側にも生まれます。賞与・手当・基本給・所定時間の短縮から、削減時間の個人差や効果の続く見込みに合わせて選びます。

手当を新しく作ると、残業代の計算は変わりますか?

変わります。毎月支払う手当は、家族手当や通勤手当などの除外される手当にあたらない限り、割増賃金の基礎に入ります。そのため残業の単価が上がります。新設には就業規則の変更が必要で、一度払い始めると下げるときに不利益変更の問題になる点も踏まえて決めてください。

ご相談は、お電話が一番早いです

研修の内容・料金・補助金の使い方まで、その場でお答えします

097-507-3082

不在時は折り返しご連絡します

この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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