税務調査の想定問答を生成AIに作らせました — 秋の調査シーズン前に、作り切った会社と途中でやめた会社を分けた4つの判断

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

8月の終わりから、税務署の担当者から電話が入ったというご相談が増えます。落ち着いて備えようとして、まず生成AIに「税務調査で聞かれることを想定問答にしてください」と打ち込む会社が出てきます。同じ打ち込み方をしても、最後まで作り切った会社と、途中で手を止めた会社に分かれます。分かれ目はAIの性能ではなく、制度のどこまでをAIに任せたかにありました。

秋の調査は、事前通知というかたちで始まります

事前通知で知らされる事項

実地の調査に入る前に、税務署は原則として納税者へ事前通知を行います。通知される事項は国税通則法第74条の9に列挙されていて、調査を開始する日時と場所、調査の目的、対象となる税目、対象となる期間、対象となる帳簿書類その他の物件、担当職員の氏名と所属などが含まれます。

つまり、想定問答の範囲は貴社が決めるものではなく、通知の内容で先に決まります。通知を受ける前にAIへ丸ごと投げると、対象外の税目まで抱え込んだ長い問答ができあがり、社内の不安だけが増えていきます。

判断1:想定問答の範囲は、通知された税目と期間で区切ります

AIに投げる前の4前提

作り切った会社は、AIに投げる前に前提を紙に落としていました。整理すべき前提は4つです。

確定させる前提 決まり方 確かめる場所
調査の税目と対象期間 税務署からの事前通知 通知を受けた日の聞き取りメモ
帳簿書類の保存年数 法人税法上の保存期間の定め 経理の書庫と会計システム
電子取引データの保存 電子帳簿保存法の保存要件 メール添付・EDI・クラウドの保存先
質問に答える人 社内の役割分担 経理責任者と代表者の取り決め

この4つが埋まった状態であれば、指示は短くて済みます。

あなたは当社の経理担当者向けに、税務調査の「社内確認リスト」を作ります。
【前提】
- 事前通知の内容:税目=法人税・消費税、対象期間=第○期〜第○期
- 当社の業種=( )、従業員数=( )名
- 会計システム=( )、電子取引データの保存先=( )
【出力】
1. 上記の税目・期間に限って、説明を求められやすい取引区分を10個
2. 各区分について「どの帳簿・原始記録を出せば説明が終わるか」を1行
3. 社内で答えが割れそうな論点を、質問文のかたちで5個
※ 金額や税額の当てはめ、加算税の判定は書かないでください。

判断2:答えの根拠は帳簿と原始記録に置きます

帳簿書類の保存期間

法人は帳簿書類を原則7年間保存します。欠損金額が生じた事業年度については10年間です(国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間)。電子でやり取りした注文書や請求書は、電子帳簿保存法の定める要件に沿って保存する必要があります。

想定問答に「当社は適切に処理しています」と書いても、それは根拠になりません。「この取引はこの伝票とこのメールで説明できます」という対応表になって、初めて使えるようになります。作り切った会社は、AIが出した論点1件ごとに、帳簿と原始記録の置き場所を書き足しました。生成AIの利用料を部署ごとに違う科目で落としていたような状態であれば、想定問答より先にそちらの整理が必要になります。

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判断3:加算税がどれに当たるかは、AIに当てはめさせません

過少申告加算税、無申告加算税、重加算税は、割合の違いではなく要件の違いで分かれます。重加算税は事実の隠蔽または仮装があった場合のもので、単なる計算誤りとは要件がまったく違います。生成AIは一般論としての説明はできますが、貴社の取引がその要件に当たるかどうかまでは判断できません。ここを想定問答に書き込むと社内の認識だけが固まってしまい、顧問税理士との打ち合わせで作り直しになります。税理士に聞く前にAIへ聞いてしまう場面と、危うさの根は同じです。

なお、加算税の割合も保存期間の取り扱いも、税制改正で変わります。年度をまたぐと前提が動きますので、着手する時点で国税庁の該当ページを開き、AIの回答と突き合わせてください。

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判断4:やめた会社は、想定問答が「読み上げる台本」に変わった時点で止めました

確認リストへの作り替え

手を止めた会社に共通していたのは、出力が「こう聞かれたら、こう答える」という言い回し集になっていたことです。調査で求められるのは事実の説明であって、言い回しの工夫ではありません。台本を持って臨むと、事実と違う説明を口にしたときの立て直しが難しくなります。

そこでやめた会社は、想定問答を捨てるのではなく「確認リスト」に作り替えました。質問の形は残したうえで、答えの欄には文章を書かず、資料名と保管場所と担当者名だけを入れます。社内で判断がつかない項目には「その場で答えず、確認して後日回答する」と書いておきます。結果として、AIの出力量は半分以下になりましたが、当日に使えるものが残りました。

えらびの道では、生成AIの研修を半日の単発と標準コースで提供し、実際の業務に伴走するコーチングも行っています。今回のような社内資料づくりでは、研修でプロンプトの型を扱ったうえで、コーチングの中で貴社の帳簿や資料の置き場所に合わせた確認リストの形まで落とし込むところをお手伝いできます。税務判断そのものは顧問税理士の領域ですので、当社が関わるのは資料の作り方と社内の役割分担の整理までです。費用面では人材開発支援助成金や自治体の補助金を使える場合がありますので、AI研修に使える助成金・補助金もあわせてご確認ください。

想定問答を確認リストに作り替えるところまで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修を行っています。研修だけを専門にしている会社ではなく、普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしており、生成AIはその現場で毎日使っている道具のひとつです。社内の資料をどう整えれば使えるようになるかを、実務の側からご説明できます。

研修では、貴社が実際に使っている書類をそのまま題材にします。この記事で扱った税務調査の想定問答であれば、事前通知で決まった税目と期間をどう前提に置くか、AIが出した論点1件ごとに帳簿と原始記録の置き場所をどう書き足すかを、貴社の資料を開いて決めていきます。翌日から使える確認リストの形で持ち帰っていただけます。税務上の判断そのものは顧問税理士の領域ですので、当社が関わるのは資料の作り方と社内の役割分担までです。

事前のヒアリングに伺うのも研修当日に立つのも、代表の喜多が同じように担当します。どの資料が電子で残っているか、どこで手が止まっているかを先に伺ってから、当日の題材を決めます。

まずはオンラインで30分ほど、お話をお聞かせください。費用はかかりません。事前通知が届く前でも、何から手をつけるかの整理からご相談いただけます。

よくある質問

税務調査の想定問答を生成AIで作っても問題ありませんか?

論点の洗い出しや質問文の作成までであれば、生成AIで足ります。ただし答えの中身は帳簿と原始記録に基づく事実の説明である必要がありますので、AIが書いた文章をそのまま回答に使うことは避けてください。税務上の判断は顧問税理士にご確認ください。

税務調査の資料を生成AIに貼り付けても大丈夫ですか?

取引先名や個人名、金額がそのまま入った資料を外部のAIサービスへ貼るのは避けてください。入力データを学習に使わない設定か、法人向けの契約かを確認したうえで、必要であれば固有名詞を伏せた形に直してから渡す方法が安全です。

事前通知が来る前に準備を始めてもよいですか?

始めて構いませんが、対象の税目や期間が決まっていない段階では範囲が広がりすぎます。帳簿と電子取引データの保存状況の確認、答える人の役割分担といった、通知の内容に左右されない部分から手を付けるのが現実的です。

ご相談は、お電話が一番早いです

研修の内容・料金・補助金の使い方まで、その場でお答えします

097-507-3082

不在時は折り返しご連絡します

この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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