
カスタマーハラスメント対策の義務化に備える — 大分の中小企業が生成AIで基本方針・マニュアル・相談窓口を1週間で整える手順
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
「クレーム対応」と「カスハラ対策」は別物
2025年6月に公布された改正労働施策総合推進法で、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になりました。施行日は政令で定めるとされ、公布から1年6か月以内、つまり2026年内には動き出します。準備期間はもう残り少ないと考えたほうが現実的です。
ここで混同しやすいのが、既存のクレーム対応との違いです。クレーム対応は「顧客の不満を解消する」ための仕組み。カスハラ対策は「従業員を守る」ための仕組みです。目的が違うので、必要な文書も別に用意することになります。
厚生労働省が示す枠組みで求められるのは、大きく3つです。
| 義務づけられる措置 | 用意する文書 | 生成AIの使い方 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 方針の明確化と周知・啓発 | 基本方針(A4一枚) | 業種に合わせた文案の生成 | 2時間 |
| 相談体制の整備 | 相談窓口フロー・受付票 | 窓口→報告→判断の分岐設計 | 3時間 |
| 事後の迅速・適切な対応 | 対応マニュアル・記録様式 | 場面別の具体的な言い回し | 4時間 |
大分は宿泊・小売・運送・介護といった対面の多い業種の比率が高く、現場が一人で顧客と向き合う場面が構造的に多い。だからこそ「その場で判断する基準」を先に紙にしておく価値があります。
1週間の割り振りを先に決める
まとまった時間を取ろうとすると、いつまでも着手できません。1日1〜2時間で、次のように割ります。
Day1〜2で基本方針、Day3〜5で線引き基準と対応マニュアル、Day6で相談窓口フロー、Day7で周知と記録様式。合計10時間ほどです。従来なら社労士と打ち合わせながら1〜2か月かかっていた分量ですが、下書きをAIに任せれば、人間の時間は判断と修正だけに使えます。
Day1〜5:方針と線引き基準をつくる
基本方針は、経営者が「従業員を守る」と明言する文書です。抽象的になりがちなので、条件を細かく与えます。
あなたは労務管理に詳しいコンサルタントです。
カスタマーハラスメント対策の基本方針をA4一枚で作成してください。
【会社情報】
・業種:旅館業/従業員32名(うちパート18名)
・顧客接点:フロント、客室係、電話予約、口コミサイト
【必須項目】
1. 会社としての姿勢(従業員を守ることを明記)
2. カスハラの定義(顧客等の言動/社会通念上相当な範囲を超える/
就業環境が害される、の3要件で説明)
3. 該当する行為の類型(自社の顧客接点に即した具体例を8つ以上)
4. 会社が取る対応(対応の打ち切り、警察・弁護士への相談を含む)
5. 従業員へのメッセージ
【条件】
・正当な要望・意見までは制限しないことを明記する
・社外にも掲示できる文体にする
・専門用語は使わない
続けて、対応マニュアルの核になる線引き基準を作ります。ここが最も難しく、AIが最も役に立つ部分です。
先ほどの方針をもとに、現場判断用の線引き表を作ってください。
【出力形式】表。列は「場面/正当な要求/カスハラに当たりうる言動/
現場の初動/エスカレーション基準」
【条件】
・場面は自社の顧客接点から10行つくる
・「同じ話を繰り返す」など判断に迷う中間例を必ず3行入れる
・エスカレーション基準は時間・回数・言動で数値化する
(例:同一内容の電話が3回、対応が30分を超えた時点で上長交代)
・現場の初動は、そのまま口に出せるセリフで書く
数値化の指示を入れないと「悪質な場合は」といった曖昧な表現に流れます。「30分を超えたら上長が代わる」と決まっていれば、現場は迷いません。
Day6〜7:相談窓口フローと周知記録
窓口は「作った」だけでは機能しません。受付から報告、事実確認、被害者への配慮、再発防止までの流れを1枚の図にします。AIには「受付者が兼務の場合/窓口担当者本人が被害者の場合/取引先からの被害の場合」の分岐も出させておくと、いざというときに止まりません。
周知は実施した証拠まで残します。朝礼で読み上げる5分の原稿、確認テスト、受講記録の様式。これも同じチャットの続きで生成できます。
AIに任せてはいけないところ
まず、相談窓口の担当者と連絡先。実在する人と電話番号を、本人の了解を得て埋めます。次に、就業規則や既存のクレーム対応規程との整合。矛盾があると運用時に必ず揉めるので、社労士や顧問弁護士の確認を挟んでください。外部の相談先も、大分労働局の総合労働相談コーナーなど、実際の窓口を自分で調べて記載します。AIは平然ともっともらしい連絡先を書きます。
費用面では、人材開発支援助成金や自治体の補助金が使える場合があります。ただし要件も金額も年度ごとに変わるため、大分労働局や県・市の窓口、公募要領で最新の内容を確認してください。
そして最後に現場のレビュー。線引き表をパートを含む全員に音読してもらうと、「この場面はうちでは起きない」「もっと多いのはこっち」という指摘が必ず出ます。その修正まで含めて1週間です。
えらびの道では、こうした社内文書づくりを題材にした生成AI研修とコーチングを提供しています。研修は半日の単発と標準コースがあり、自社の顧客接点を持ち込んで線引き表まで作る形なので、終わった時点で使える下書きが残ります。コーチングでは、窓口の運用開始後に上がってきた実際の事例をマニュアルへ反映する作業に伴走します。人材開発支援助成金や自治体の補助金を使う場合の申請書類の準備にも対応しています。
カスハラ対策の文書づくりを、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、大分県の中小企業向けに生成AIの業務活用研修を行っています。とはいえ研修専門の会社ではありません。普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしていて、生成AIはそこで毎日触っている道具のひとつです。だからお伝えするのは、教科書の使い方ではなく実務で使っている手順になります。
研修では、この記事で扱った基本方針や線引き基準、対応マニュアル、相談窓口フローを、貴社の顧客接点に合わせて実際に作りながら進めます。汎用的な文例をなぞるのではなく、貴社が今使っているクレーム対応の記録様式や受付票をそのまま題材にします。持ち帰るのは資料ではなく、翌日から現場に置ける文書です。
大分市の人材育成応援事業などの補助金を使う場合は、えらびの道で申請書類の作成もあわせてお手伝いします。事前のヒアリングに伺うのも、研修当日に立つのも同じ人間(代表の喜多)です。窓口が変わって話が伝わらない、ということは起きません。
まずは現状を伺うところからで構いません。オンラインで30分、費用はかかりません。義務化までにどこから手をつけるべきか、貴社の状況に合わせて一緒に整理します。
よくある質問
従業員が数人の小さな会社でもカスハラ対策は義務になりますか?
改正法ではカスタマーハラスメント対策は事業主の義務とされています。ただし施行日は政令で定めるとされており、細かな適用の扱いは今後示される内容によります。自社が対象かどうかの最終確認は、大分労働局などの窓口でお願いします。文書づくり自体は、人数が少ないほど短時間で終わります。
生成AIに実際のクレーム記録を入力しても大丈夫ですか?
顧客名や電話番号、従業員の氏名など個人が特定できる部分は伏せて、場面と言動だけを入力するのが無難です。利用するサービスの規約や社内の情報取扱ルールも、あらかじめ確認してください。線引き表をつくるうえで必要なのは状況の型であって、個人情報そのものではありません。
相談窓口の担当者は社長が兼任してもいいですか?
少人数の会社では兼任になりがちです。ただし担当者本人が当事者になったときに相談が止まってしまうので、代わりの受け手をもう一人決めておいてください。大分労働局の総合労働相談コーナーなど、社外の窓口を方針や受付票に併記しておくのも有効です。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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