
インボイスの控除が10月から50%に下がる — 外注先128社を生成AIで仕分けて、値引き要請を出す相手を決めた判断軸
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
2026年10月1日から、インボイスを出せない相手からの仕入れについて、控除できる額が仕入税額相当額の80%から50%に下がります。従業員24名の内装工事会社が、外注先128社に値引きのお願いを出す準備を始めたところで手が止まりました。
増えるのは「消費税の半分」ではなく、税抜発注額の3%です
税抜100万円の外注で考えます。消費税相当額は10万円です。9月末までは8万円を控除できるので自社負担は2万円ですが、10月以降は5万円しか控除できず、負担は5万円になります。差は3万円で、税抜の発注額のちょうど3%にあたります。割合と期間は国税庁のインボイスQ&Aに示されています。
年間の外注費が2億4,000万円(税抜)でも、免税事業者への発注が2,000万円なら、増える負担は年60万円です。なお9月と10月をまたぐ工事は請求書の日付ではなく課税仕入れを行った日で分かれますので、前後の取引を扱ったQ&Aを先に読んでおきます。
128社を5つに分けると、話をする相手は11社でした
台帳で登録番号の欄が空欄だったのは52社です。ここへ一律に文書を送るところでした。台帳を生成AIに仕分けさせた結果は、次のとおりです。
| 外注先 | 社数 | 年間で増える負担 | 確認する項目 | 10月以降の対応 |
|---|---|---|---|---|
| 登録番号を控え忘れていた外注先 | 20社 | 0円 | 請求書に印字された登録番号 | 台帳への転記 |
| 直近12か月の発注がない外注先 | 13社 | 0円 | 直近12か月の発注実績 | 台帳からの除外 |
| 年間発注が12万円未満の外注先 | 8社 | 1社あたり3,600円未満 | 事務の手間と負担額の釣り合い | 現状の維持 |
| 登録を検討中と答えた外注先 | 5社 | 登録日まで未確定 | 登録の予定日と適用の開始日 | 9月末までの回答依頼 |
| 免税のまま続ける見込みの外注先 | 6社 | 税抜発注額の3% | 代替先の有無と技能の代替性 | 協議の申し入れ |
20社は登録番号を持っているのに転記していなかっただけでした。この20社に「消費税分を引かせてください」と届いていたら、事実に反する要請になります。
「1件1万円未満」が消える会社と、消えない会社があります
税込1万円未満の課税仕入れは、インボイスがなくても帳簿の保存だけで控除できます。ただし対象は基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます(少額特例の概要)。
自社が対象なら、消耗品や少額修繕といった細かい発注はこの話から外れます。対象外なら52社を全部見ることになります。この会社は課税売上高が1億円を超えていたため、対象にはなりませんでした。最初に確かめるのは相手の状態ではなく、自社が少額特例を使えるかどうかです。
値引きを求めてよい相手と、切り出し方を変える相手がいます
免税事業者であることを理由に一方的に価格を引き下げ、応じなければ取引を打ち切ると通告する行為は、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるおそれがあります(公正取引委員会などのQ&A)。
もうひとつ、建設工事の請負契約は下請法(2026年1月から中小受託取引適正化法)の対象ではなく、建設業法が働きます。同法第19条の3は、注文者が取引上の地位を不当に利用し、通常必要と認められる原価に満たない額で契約することを禁じています(建設業法令遵守ガイドライン)。同じ相手でも、内装工事そのものの発注と、図面作成や清掃の委託とでは根拠になる法律が変わります。
ですから文書は通告ではなく協議の申し入れにします。組み立て方は値上げ交渉の資料を生成AIで作るで書いた考え方が、立場を入れ替えてそのまま使えます。
AIに区分を振らせる欄と、人が照合する欄を分けます
仕分けそのものはAIが速いので、判定ルールを固定して渡します。
添付は当社の外注先台帳です。列は
[取引先コード / 名称 / 登録番号欄 / 直近12か月の発注件数 / 同 発注額(税抜) / 1件あたり発注額の最大値]。
次のルールだけで各行に区分を振り、区分ごとの社数と発注額合計を表にしてください。
1. 登録番号欄に13桁の記載がある → A(登録あり)
2. 記載がなく発注件数が0 → D(休眠)
3. 記載がなく年間発注額が12万円未満 → C(少額)
4. どれにも当てはまらない → B(要確認)
・登録番号の有効性は判定しないこと。空欄は「未確認」とし、免税事業者と断定しないこと。
・元データにない列を作らないこと。判断できない行は「判定不能」に入れ、理由を書くこと。
登録番号が有効かどうかは、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで1社ずつ照合します。AIに「この会社は登録していますか」と尋ねると、それらしい13桁を返してくることがあります。税や制度の判断を任せたときに起きることは税理士・社労士に聞く前にChatGPTに聞いてしまうでも触れました。渡す前に「発注額は税込か税抜か」「集計期間はいつからか」を決めておく点は、上期末の着地見込みをAIに出させる場合と同じです。
えらびの道では、半日の単発研修と標準コース、それに実業務へ伴走するコーチングという形で生成AIの業務活用をお手伝いしています。今回のような外注先台帳の仕分けは、貴社の実際の台帳を題材に、列の定義づくりから区分を振るプロンプトまでを一緒に組み立てられます。人材開発支援助成金や自治体の補助金を使う場合の書類作成にも対応しています。増える負担額を出したところで止まっている段階でも、どこから手をつけるかの整理からご一緒できます。
外注先の仕分けを社内で回せるように、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、大分県の中小企業に向けて生成AIの業務活用研修を行っています。研修だけを専門にしている会社ではなく、普段はシステムの受託開発と自社サービスの運用をしており、生成AIはその現場で毎日使っている道具のひとつです。台帳のような雑多なデータをどう整えれば仕分けに使えるのかを、実務の側からご説明できます。
研修では、貴社が実際に使っている書類をそのまま題材にします。この記事で扱った外注先台帳であれば、登録番号の欄が空欄の相手をどう分けるか、直近12か月の発注実績をどう突き合わせるか、値引きの協議を申し入れる相手をどこで線引きするかを、貴社の台帳を開いてその場で決めていきます。仕分けの依頼文と確認表を、翌日から使える形で持ち帰っていただけます。
事前のヒアリングに伺うのも研修当日に立つのも、代表の喜多が同じように担当します。台帳のどの列が埋まっていないか、どこで手が止まっているかを先に伺ったうえで、当日の題材を決めます。
まずはオンラインで30分ほど、お話をお聞かせください。費用はかかりません。10月までに何から手をつけるかが決まっていない段階でも、一緒に整理するところからご相談いただけます。
よくある質問
インボイスの経過措置はいつまで50%控除ですか?
2026年10月1日から2029年9月30日までの3年間が50%控除の期間です。その後は経過措置そのものがなくなり、インボイスのない仕入れは控除できなくなります。どちらの割合になるかは請求書の日付ではなく、課税仕入れを行った日で判定します。
免税事業者の外注先に消費税分の値引きをお願いしてもいいですか?
一方的に通告する形は避けてください。公正取引委員会などは、免税事業者であることを理由に価格を引き下げ、応じなければ取引を打ち切ると通告する行為について、独占禁止法上問題となるおそれがあるとしています。増える負担を示したうえで、協議として申し入れる進め方が安全です。
外注先が登録事業者かどうかは、どこで確認できますか?
国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで、13桁の登録番号を入力して確認できます。番号を控えていない相手には、請求書か書面で番号を知らせてもらう必要があります。生成AIに番号を推測させると実在しない番号が返ることがありますので、照合は必ずサイト側で行ってください。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
あわせて読みたい
部下がAIで書いた報告書が3倍に伸び、課長の確認時間が増えました — 上期の振り返りと下期計画が集まる10月に、管理職が「ワークスロップ」を止める依頼・自己点検・AI使用の申告・差し戻しの4つの失敗
AIで書かれた長い報告書を読む時間が、課長に回っていませんか。10月に上期の振り返りと下期計画を受け取る管理職向けに、依頼の書き方・自己点検・AI使用の申告・差し戻しの基準で起きる4つの失敗と防ぎ方をまとめました。
生成AIが作った面接質問に「尊敬する人物は?」が入っていました — 10月1日に義務化された就活セクハラ防止と公正採用選考で、中小企業が面接官に渡す前に見直す質問・面談の場所・SNS連絡・記録の4点
生成AIで作った面接質問には、公正採用選考で避けるべき質問が混ざることがあります。10月1日に義務化された求職者へのセクハラ防止措置とあわせて、面接官に渡す前に見直す4つの失敗を解説します。
AIで受注入力が減った事務職に「来月から営業へ」と言えるか — 労働条件通知書の「業務の変更の範囲」と職種限定合意で分かれる4つの判断
AIで受注入力が減った事務の社員を営業へ移せるかどうかは、労働条件通知書の「業務の変更の範囲」と職種限定の合意で分かれます。下期の配置転換の前に確かめる4つの判断を表で整理します。

